鍼灸

鍼灸治療の種類を説明!治療院選びの参考になりますように。

鍼灸治療ってどんなイメージ持たれていますか?治療を受けたことがない方は中々イメージ湧きづらいのではないかな?と思います。

治療を受けたことがある方は、通われている治療院の施術が鍼灸のイメージだと思うのですが

実は、鍼灸治療は色々な種類があって、診察の仕方、病気の捉え方、考え方、施術方法が全く違ってくるのです。

治療の方法や鍼灸院選びは大事だと思うので、「せっかく行ったのにがっかりだった〜」と思う回数がグッと減るように、鍼灸院を選びの参考になるように、今回は鍼灸の種類をご紹介いたします。

現代医学的鍼灸(西洋医学的鍼灸)

鍼灸は大きく分けると「現代医学的な理論のもとに行う治療」と「東洋医学的な理論のもとに行う治療」の2種類に分けられます。

「現代医学的鍼灸」は現代医学が基礎医学としている、解剖学・生理学・病理学などの理論に基づいて治療します。

筋肉、神経叢(しんけいそう)などを狙った局所的な治療を得意とし、直接その患部に鍼や灸をすることが多いです。

例えば、肩凝りで来られた場合、肩の筋肉に直接鍼を打って、凝り固まっている筋肉を緩め、血行を促進し、肩凝りを改善させるという考え方です。

神経痛、炎症、炎症による痛みや腫れなどを抑えることが得意な治療方で、鍼灸整骨院や保険診療を行なっている鍼灸院が現代医学的鍼灸を取り入れていることが多いようにかんじます。

また、人間の身体には、「気血(エネルギー)」が流れる通路が全身に12本あって、これを「経絡(けいらく)」と言います。

また、「経絡」上には「ツボ(経穴)」があり、身体の異常が現れたり、治療のポイントになります。全身に361穴あり、重要な神経・血管・筋走行上に位置するものも多くあります。

「ツボ」の選び方も「現代医学的鍼灸」と「東洋医学的鍼灸」では違いがあって、「現代医学的鍼灸」の場合、解剖学・生理学に基づいて、筋肉・神経などを意識しツボを選択することが多いように思います。

この神経がこの部分で圧迫されていて痛みが出ている可能性があるから、このツボで治療しようというような選び方です。

患部から離れたツボを刺激することで、症状を緩和したり、弱った機能を回復させたりなど、効果が得られることもありますが、この選び方は「東洋医学的鍼灸」を取り入れている先生に多いように思います。

また、先程、肩凝りの治療について書きましたが、この方は肩凝りの可能性があるという考えにいたるまでに、「現代医学的鍼灸」の場合は問診、ROM検査、徒手検査などで原因を絞っていきます。

ROM検査は関節可動域を調べる検査で、首、腕、腰、脚などがどこまで曲がるのか、正常な範囲まで曲がるのかなど、関節がどの程度動くかを確認します。

徒手検査は、治療すべき部位の特定をする為に、患部と思われる部位を動かす、延ばす、抵抗運動をしてもらうなどです。

また、徒手検査は患者さんの訴える症状が鍼灸に適応するのか?の確認にもなります。脳に問題があったり腫瘍が原因だったりした場合、鍼灸不適応なので病院の受診をすすめることになります。

全ての「現代医学的鍼灸」の治療院が検査をする訳ではないですが、取り入れている所が多いように思います。

痛い部分に鍼や灸を直接してほしい、多い本数の鍼で治療してほしい、などの希望がある場合、「現代医学的鍼灸」を取り入れている治療院のほうがイメージに近い治療をしてくれるのではないかなと思います。

 

美容鍼

鍼灸の治療を受けたことがない方でも、顔に沢山の鍼を刺している美容鍼なら知ってる!という方が多いのではないでしょうか?snsで写真も多く見かけますよね。

美容鍼も「現代医学的鍼灸」に分類されます。主に顔〜頸(くび)に局所的に鍼をします。ツボを意識して治療することもあると思いますが

主に血流の促進や筋肉の弛緩を促すことを目的としている施術が多いと思います。血流が良くなることで浮腫みが軽減したり、顔色が明るくなったりを期待できます。

また、お顔の皮膚は、「表皮」「真皮」「皮下組織」という3つの層に分かれていて、鍼で真皮層に微細な傷をつけることで、お肌は壊れた組織を修復しようとします。

その過程で、コラーゲン・セラミドなど、お肌のハリや弾力性を保つ生成が促進され、お肌の状態の改善を期待できます。

ただ、美容鍼だけしか美容に効果がないのか?というとそうではないと思っています。

顔に直接鍼を打たなくても、全身を整えていくことで、お肌の調子は良くなると思います。

また、お肌の調子が悪い原因が内臓にある場合、内臓の不調を改善していく治療の方が根本的改善に繋がるのではないかと思っています。

美容鍼は、顔に直接鍼を打ってほしいという方にオススメです。直接鍼を打つので即効性があり満足感は高いと思います。

 

東洋医学的鍼灸(伝統医学的鍼灸)

同じ症状でも「東洋医学的鍼灸」は「現代医学的鍼灸」と全く違う考え方をします。

先生によって治療の仕方は様々ですが、患部ではない部分に鍼を打つことが多いです。

原因は内蔵の不調からきていると考えるので、一人一人違った施術になります。肩凝りの人が来られても、人が違えば、鍼を打つ場所は全く違ってきます。

問診の仕方も「現代医学的鍼灸」と違ってきます。

日常生活についてや、今までの経過を詳しくお聞きしたり、問題のある部分だけではなく、顔色、脈の状態、舌の状態、腹部の状態などを見たりもして、不調の一番の原因は何かを見つけていきます。

痛い部分に鍼を打たずにどこに打つのかというと、先程お話しさせてもらったツボ(経穴)、経絡を意識します。

この患者さんはこの内臓の働きが弱いのでこの経絡を整えよう。それならこのツボだなという考え方です。

「現代医学的鍼灸」よりも少ない本数で治療を行う場合が多く、どのツボで治療するかを決めるために問診で時間が必要となります。

鍼の本数が少ないのは、必要なツボのみに治療する方が効果が大きいという考え方だからです。ケチって少なくしているわけではありませんよ。

「東洋医学的鍼灸」は内臓の不調を考えての治療なので、その時出ている症状だけではなく、体質自体を改善したり、症状の繰り返しを防いだり、根本的な改善、原因の改善を期待できます。

「東洋医学的鍼灸」を取り入れている先生たちが全員同じ治療方法かというとそうではなく、大まかな考え方は似ていても治療の仕方に幅があります。

鍼灸の歴史は長く(歴史についてはこちら)
昔の医学書が沢山あるのですが、どの考え方を取り入れているのかも違いますし

脈の見方、ツボは左右どちらも治療するのかなども違ってきます。

また、「現代医学的鍼灸」と「東洋医学的鍼灸」に分けて書きましたが、組み合わせて治療されている先生もいらっしゃいます。

これは、こうです!と言い切れなくて申し訳ないのですが、先生や治療院によって様々なので、言い切れないんです。

でも、実際に行ってみて、がっかりだったな〜と思うことがもしあったとしても、他にも鍼灸院は沢山あると言うことを知っていてほしいなと思ってます。

治療の方法や鍼灸院との相性が良くなかったという可能性もあるので「鍼灸=効かなかった」と決めてしまったら勿体ない気がするのです。

ですが、症状によって変わってきますが、1度で劇的に良くなることは少ないと思うので、この先生に治療をお願いしたいなと思えた場合、しばらくは通ってみるのが良いのではないかと思います。

 

注意点

鍼灸院に通っている方、これから通いたいと思っている方々は、病院に行ったけど改善できなかったという方が多いのではないかと思います。

その様な方は是非、鍼灸治療を取り入れみてほしいのですが

不調な部分があって、まだ一度も病院で診てもらっていないという方は鍼灸院に行く前に、まずは病院で診てもらうことを強くオススメします。

鍼灸師は病気の診断はできません。診断できるのは医師のみです。

もしかすると、鍼灸治療では改善できないような、大きな病気の可能性があります。

鍼灸治療をすると痛みが引くことが多いので、大きな病気が隠れていたとしても、痛みが無くなり、結果、病気に気付くことが遅れてしまい、気付いた時には手遅れな状態ということになってしまう場合があります。

そのようなことにならないように、自己判断しないようにお願いいたします。

 

結局どの治療方法が良いのか

ここまで読んでくださってありがとうございます。

どの治療方法が良いかは、患者さんによって望んでいるものが違うと思うので、良さそうだな〜という所をご自身で選んで鍼灸院に足を運んでもらうしかないです。(ここだけ言い切ってすみません。)

「現代医学的鍼灸」と「東洋医学的鍼灸」について、わたしは「東洋医学的鍼灸」の考え方が好きですが、どちらが良い悪いはありません。

どちらも、しっかり勉強されている先生だったら効果があると思うし、患者さんが良くなればどちらでもいいと思います。

良い治療院が見つかりますように。